‘会席のお献立’
9月の能書き
天醐の九月
今月のテーマは《ごま》CМ等でごまの有効成分を多く含んだ健康補助食品、
サプリメント。古来より、「不老長寿の薬」と言われてきた ごまの有効成分。
間違いなく人体に有用な必須成分と言っても良いでしょう。最近の食卓では
食の欧米化が進み、高カロリーで食物繊維の少ない食事に偏りがちです。
出来あいの食材が揃う今日では、ある意味便利にはなりましたが、炒りたて
擂りたてのごまの香りを楽しめる機会が減って来た事は否めません。
サプリメント等で補うのも一法ですが、食の楽しみは朝や夕時の食事の支度の
香りが食欲をそそり、それによって消化吸収に作用する部分もあるのでしょう。
天醐の料理も食材の香りを意識しながらのお献立を考えます。
前置きが長くなりましたが、今回は《ごまの効能・効果》に関して野菜ソムリエ
が御紹介いたします。
ごまの栄養成分としてあげられるのが、不飽和脂肪酸のリノール酸やオレイン酸
タンパク質、ビタミンE、B郡、カルシウム、鉄などのミネラルを豊富に含み、
また脂質に多く含まれるセサミン。話題のセサミンですね。セサミンの効果は
幅広く、強い抗酸化作用により老化防止、肝臓の強化、悪玉コレステロール抑制
精神安定、動脈硬化予防、血圧降下への期待・・等々。良い事ばかりです。
ごまの調理法 洗いごまを鍋かフライパンで空炒りし、焦がさないように粒が
弾け出すまで炒ります。擂りごまにするには炒りたてのごまをすり鉢に入れて
じっくりと擂ります。切りごま・擂りごま・練りごま・料理により使い分けます
栄養成分を効率的に摂るには、加熱、加工してから短時間で食べきる事ですね。
有用成分が酸化しない為にも、こまめに調理する事が美味しく健康に食べるコツ
身近な食材をごま和えにしてみては?裏技としては、お好みのナッツ類をブレンド
することをお勧めします。香りも料理の幅も広がります。味付けはお出汁、醤油、
砂糖、味醂等で。時間の短縮にはミキサーやミルで擂り潰し、密閉袋に入れ冷凍
しておけば、いつでも必要な量だけ使えますね。
野菜ソムリエ オーナーシェフ 大澤 淳
9月のお献立
今月のお献立
向附
海老とフォアグラムースのゼリー寄せ
造り
季節魚のサラダ仕立て 胡麻と大根のドレッシング
グレープF 温度玉子 刻み野菜
椀盛
しめじと菊花のしんじょ 生麩 焼き椎茸 吸い口
八寸
◆茄子揚げ浸し ◆高野豆腐のバター焼き
◆豆乳豆腐 ◆ひじきと枝豆の白和え
◆玉子焼き ◆信田巻・南瓜 ◆飛竜頭 大根卸
◆名残り鱧の変わり揚げ ◆里芋・椎茸
煮物
鶏団子と冬瓜の鍋 清まし仕立て
晒し葱 糸唐辛子 昆布
御飯
牛蒡・人参・蒟蒻の混ぜご飯 海苔巻
汁物
味噌汁(信州味噌) 葱 巻き麩
水物
南瓜ムース 小豆 ホイップ 黄な粉
薄茶
7月の能書き
天醐の七月
今月のテーマは《食の高血圧予防》です。高血圧の食事のイメージは塩分少な目の
素っ気ない・美味しくない・・と思われる方も多いでしょう。確かに高塩分は血圧に
大敵です。ですが、だからと言って毎日の食卓が味気ない物になってしまっても
それは悲しい事です。一日三食の食事を楽しく美味しく頂く為の提案です。私は医者
ではありません。病気の詳しい事は解りません。しかし、食習慣が原因での疾病は、
かなりの比率で多いと認識しています。私、野菜ソムリエの料理人として出来る事は、
野菜の知識だけではありません。いかに美味しく召し上がって頂くか、いかに栄養素を
損なわずに調理するか・・等色々と毎日のお料理に気を抜く事が出来ません。
野菜達は脇役で結構です。ただ、栄養成分を知って頂くだけで《健康維持》が
保たれる要因の一つでもあります。毎日の食卓に野菜達を数品、お献立に入れて頂くだけで
様々な病気の予防に繋がるのであれば日々の心掛けで容易に出来る事と思います。
さて、今回のテーマの高血圧予防。毎月のお献立と何が違うかと言うと・・何も
違いません。ただし、ダイレクトな塩、醤油味の調味料を減らし、酸味を効かせた
味付けとなっています。そして予防に有効なカリウム、食物繊維、緑黄色野菜、
良質なタンパク質等をバランス良く組み入れました。
【向附】サーモンの良質な脂質と緑黄色野菜の南瓜に生クリームのカルシウム+野菜
【椀盛】白身魚・枝豆のタンパク質と昆布やコーンの食物繊維・カリウム
【造り】良質なタンパクの鮪に玉葱ドレッシング(先月御紹介した血液サラサラ効果)
【八寸】其々のお料理の味付けは薄目ですが、餡やドレッシング等は追い鰹をしたり
酸味のある果物などを利用して薄味でありながら物足りなさを感じません。
【焼物】タルトの中身、生地となっているのが白身魚のすり身にグリーンピース
グリーンピースの主成分もタンパク質。緑黄色野菜のパプリカとズッキーニ
付け合わせの梅素麺のトマトドレッシングにもトマトやセロリの有効成分。
【御飯】モロヘイヤは栄養成分の宝庫。ビタミン・食物繊維・βカロテン・・非の
打ちどころがありません。
今月の野菜達の役割は少量ずつですが、召し上がって頂いたお客様の美味しく
健康な食卓のヒントになれば幸いです。そして天醐はこれからも健康を目指した
『美味しく楽しい』お料理を提案して行きます。
野菜ソムリエ オーナーシェフ 大澤 淳
7月のお献立
今月のお献立
向附
サーモンの野菜巻き(胡瓜・貝割れ・アスパラ)
南瓜のムース 旨酢ジュレ掛け 新蓮根 花茗荷
椀盛
枝豆とコーンのしんじょ 大根 生麩 順菜 酢橘
造り
キハダ鮪と温玉オクラのゼリー寄せ サラダ仕立て
ミニトマト 刻み野菜 玉葱ドレッシング
八寸
◆ローストチキン グレープF キウイ 胡瓜
◆出汁巻き 山桃 ミートローフ 海老旨煮
◆茄子の揚げ浸し 豚肉時雨 大根卸 葱 天つゆ
◆海老の飯蒸し 餡掛け 卸し生姜
焼物
夏野菜タルト ズッキーニ・ベビーコーン・パプリカ
梅素麺のトマトドレッシング掛け
御飯
モロヘイヤの雑炊 梅肉 ゆかり
香物
水物 小豆と果物の梅ゼリー ホイップ ミント
薄茶
6月の能書き
天醐の六月
今月のテーマは《血液サラサラ!》です。毎日の三食の食事を支度するのは大変。
ですが、毎回の食事だからこそ気を付けたい生活習慣病。その中でも血液が原因
での疾病が多いようです。今月のお献立はご家庭でも利用して頂ける内容で、又
美味しく召し上がって頂く為の提案です。
季節の食材は勿論、お手軽な素材で工夫して健康な体を維持していきましょう。
向附 空心菜はビタミンAが多く貧血に効果的。エリンギは食物繊維。コーンには
ビタミンB郡。そのまとめ役がオリーブオイルマヨネーズです。ビタミンAの吸収を
良くし、オリーブオイルの不飽和脂肪酸がコレステロールを抑えます。
椀盛 しんじょうの黒豆はまだ未熟な枝豆ですが、カルシウムやビタミンB・Cも
含まれます。オクラのねばり成分に整腸作用やコレステロールを減らす作用も
あるようです。勿論、お出汁の昆布には、水溶性食物繊維がたっぷり!余談です
が当店のお出汁の昆布は利尻産で水にとろみが付く程の量を使います。
造り 鮪には青背の魚に多いと言われる脂肪酸も含み、《森のバター》と呼ばれる
アボカドにもやはり不飽和脂肪酸たっぷり!文句なしで相性が良い訳です。
あしらいの野菜や温玉をまとめるのが玉葱ドレッシング。当然ながら鮪との
相性も良い訳ですが、玉葱の成分が血液異常症の好敵手であるにも関わらず、
あまり知られていないのが残念です。
八寸 豆腐をペースト状にし、すり身を加えて蒸し上げ再度、豆腐の形状にして
揚げ出汁豆腐としています。大豆製品にはポリフェノールやイソフラボンを多く
含み、どちらも血液に良い効果を期待出来ます。また、グレープフルーツや
キウイ等に多く含まれるビタミンCやクエン酸は美容効果・肉体疲労時にも
効果的です。そして胡麻の成分として良く知られるセサミン。こちらも勿論!
抗酸化作用に血液効果。私たちの食生活には当たり前の食材ばかりですが日本食
自体が健康食であったと見直してしまいます。先人達は栄養素云々を言う前から
知っていたんですね・・健康になる為の食生活を。感服です。
焼物 玉葱・湯葉・豆乳・トマト・・・野菜の多いお献立ですが、「美味しい!」
と、言って頂けるよう調整いたしました。
御飯 もずくの主成分 フコイダン。豊富な食物繊維とガン予防にも効果あり。
水物 季節のパイナップル・・とは言っても年中出回るこの果物。沖縄の産地では
6~8月が収穫時期。メロンも同時期で、どちらもこれからが旬ですね。
野菜ソムリエ オーナーシェフ 大澤 淳
6月のお献立
今月のお献立
向附
白身魚と野菜の重ね盛り オリーブオイルマヨネーズ
空芯菜 ベビーコーン エリンギ 赤パプリカ酢漬け
椀盛
黒豆しんじょ 大根 生麩 順菜 オクラの摺り流し
造り
キハダ鮪とアボカドのサラダ 玉葱ドレッシング
青だつ ミニトマト 温玉 刻み野菜 金魚草
八寸
◆ローストチキン グレープF キウイ 胡瓜
◆出汁巻き 山桃 ミートローフ 海老旨煮
◆豆腐しんじょの揚げ出汁 大根卸 葱 天つゆ
◆新生姜の飯蒸し 茗荷酢 豚肉時雨煮
焼物
豆乳スフレ 銀餡 卸し生姜 蟹身 エノキ 湯葉
新玉葱炒め トマトドレッシング
御飯
もずく雑炊 醤油餡 山葵
香物
水物
パインムース 生パイン メロン ホイップ ミント
薄茶
5月の能書き
天醐の五月
向附
今が旬のうすい豆(豌豆豆)主成分はタンパク質と糖質。ビタミンBやCも
比較的多く含み、沢山のうすい豆が入手出来たら早目に茹でてポリ袋に入れ
冷凍しておくと混ぜご飯や和え物、卵とじ等活用範囲が広がります。
そんなうすい豆を今月は裏ごししゼリーで寄せました。共にゼリーで寄せた湯葉。
柔らかい食感と滑らかな口当たりの湯葉も元は大豆。同じ豆どうしですから相性
も悪かろう筈がありません。ほんのり酸味の効いた黄身酢と茗荷の香りでどうぞ。
椀盛
今月はパプリカのしんじょ。ピーマンと近い種類ですが味は甘く癖も少なく
食べやすい野菜です。パプリカの特徴は多量に含まれるカロテンとビタミンBⅠ
Cが豊富。Cはトマトの5倍、レモンの2倍と言われます。赤・黄・オレンジ
紫・白・・等色々ありますが、それぞれ栄養成分も違うようです。
しんじょの前盛りには若布と香りと食感を楽しんで頂く蕗。吸い口には木の芽。
造り
先月に引き続きお野菜たっぷりのサラダ仕立て。当店では野菜が主役がちに
なってしまいますが、あえて食事に野菜達を多く取り入れる事と、美味しく食
する事を提唱いたします。私自身、刺身のツマは大根の千切りと紫蘇の葉が定番
なのが不思議でなりませんでした。刺身のツマ達はそれぞれ役割があります。
消化を促したり殺菌作用、臭みを消したり・・・。でも、醤油だけで野菜は美味
しくありません。野菜達を魚と一緒に美味しく召し上がって頂くための献立です。
八寸
今月の八寸のコンセプトは《滋味》見た目に派手ではありませんが、旬の
食材と身体が欲しがる内容をお料理にしました。例えば、分葱のぬた。昔は近所
の池や田で獲った田螺を分葱と酢味噌で食べたり、山で採ったゼンマイをむしろ
の上で揉みながら干して煮物にしたり、採れたての新じゃがを蒸すだけて塩を
振って食べたり・・。栄養学的に見ると季節的に必要な栄養素を必然的に摂って
いたのです。今では食が豊かになりすぎ《季節が与えてくれる食材の恩恵》を
忘れてしまいがちです。ご家庭でもちょっとした工夫で滋味を楽しめると思います。
煮物
海老をすり身にして裏漉した豆腐と混ぜて蒸し上げ衣揚げにしました。
手間の掛る一品ですが、野菜餡との相性も良くすんなりと喉を通る煮物に
仕上げました。卸し生姜が味を引き締め、揚げ物の重さを感じないお料理です。
御飯
変わり種御飯。豚肉を生姜で焚いた時雨煮。そのまま召し上がっても、
またお吸い物を御飯にかけてお茶漬けにしてもお好みでどうぞ!
※ 夜懐石の一品を御紹介 ◎和牛ホホ肉の煮込み季節野菜添え玉子味噌のソース。
すっぽん料理と同じく酒と水の同量で柔らかくなるまで煮込み葱と生姜の香りを
添えます。とろとろのほほ肉にはコラーゲンたっぷりで舌触りも絶妙!
野菜ソムリエ オーナーシェフ 大澤 淳
5月のお献立
今月のお献立
向附 うすい豆と湯葉のゼリー寄せ 黄身酢 茗荷 イクラ
椀盛 パプリカのしんじょ 生麩 木の芽 蕗 若布
造り 季節魚のサラダ グレープF ミニトマト トレビス
大根 赤玉葱 人参 水菜 新玉葱 温度玉子
梅肉大根ドレッシング 玉葱ドレッシング クルトン
八寸 ◆玉子焼き ミートローフ 新じゃが ローストチキン
スナップ豌豆 じゃが明太 ヤングコーン
◆分葱 海老 竹の子 青のりゼリー 酢味噌
◆ぜんまいと京揚げの煮浸し 糸かき
蓋物 海老寄せ豆腐の野菜餡掛け 茶素麺
椎茸 人参 絹さや 卸し生姜
御飯 白飯 豚肉のしぐれ煮 小口葱 山葵
吸物 三つ葉 香物
水物 黒胡麻プリン あずきゼリー 苺 オレンジ ミント
薄茶
4月の能書き
天醐の四月
四月には桜の開花や早咲きの山の花・野の花が穏やかな暖かさと共に屋外に
誘い出してくれます。お弁当を持ち出し、野や山へお出かけしたくなる気持ちは
誰しもお持ちかと思います。そんな思いを今月のお料理に込めてお献立いたしました。
春らしい色使いと、今の季節を感じて頂けるよう、また、緑黄色野菜・食物繊維を
多く含む食材等を意識して調整いたしました。楽しんで頂けたら・・と。
向附 うすい豆(えんどう豆)はこれからが旬。ビタミンB、C等を含み、鞘えんどうと共に
これからの春の食材。二種の貝類と共に黄身酢であっさりと。
椀盛 生の青さ海苔の出回るこの時期、見逃す訳にはいきません。しんじょに混ぜ込み、
春子の焼き椎茸と 若芽、木の芽等との香りと味を楽しんで。
造り 今月のサラダ仕立ては、特に野菜を意識したお刺身との組み合わせ。
刺身に関しては九州の水産会社からの空輸。初鰹か鮪での仕立て。
春らしく彩りに配慮し野菜もバランス良く盛り付けし、食欲をそそる逸品に
仕上がりました。ドレッシングは二種類。玉葱ドレッシング・大根と梅肉の
ドレッシングです。
八寸 今月のテーマである春の山野に持ち出したくなるような籠盛の八寸です。
『こんなお弁当、持って行きたい』と思って頂けると嬉しいです。中身は色々。
揚げ物には季節の白身魚の五色あられとチーズフライ 青身にスナップ豌豆。
そこで一献。花見酒 冷酒かワインでほんのりと。
焼物 海老寄せ豆腐は、水切りした木綿豆腐に海老のすり身、魚のすり身、
昆布だし日本酒でのばし、スチームで約一時間ほど蒸して仕上げます。
豚のバラ肉は一度湯通しし余分な脂を取り下味を付けて添え、焼き上げます。
ソースには南瓜の裏漉し、ベシャメルソース・すり身等を混ぜ、仕上げに銀餡を
掛けます。
御飯 菜飯を物相型で抜き、小口葱と霰で鰹だしのお茶漬けに。
水物 ヨーグルトムースにレモンゼリーを掛け食後のさっぱりとしたデザートに。
※ 夜懐石の一品を御紹介
◎和牛ホホ肉の煮込み季節野菜添え玉子味噌のソース。 すっぽん料理と同じく
酒と水の同量で柔らかくなまで煮込み葱と生姜の香りを添えます。
とろとろのほほ肉にはコラーゲンたっぷりで舌触りも絶妙!
お昼会席でも御予約にて用意いたします。
野菜ソムリエ オーナーシェフ 大澤 淳
4月のお献立
今月のお献立
向附
うすい豆のゼリー寄せ 帆立 ほっき貝 キウイ 菜花
黄身酢掛け 海老煎餅
椀盛
青のりしんじょ 生麩 乃し餅 若芽 春椎茸 木の芽
造り
季節魚のサラダ グレープF ミニトマト トレビス
大根 貝割 赤玉葱 人参 水菜 大葉 新玉葱
梅肉大根ドレッシング 玉葱ドレッシング クルトン
八寸
籠盛 出汁巻き 錦糸巻き 海老旨煮 里芋 竹の子
芹しんじょ プチシュー ひじきサンド 山菜飯蒸し
珍味入れ 三色団子・・・
揚物
白身魚五色揚げ チーズフライ スナップ豌豆
焼物
海老寄せ豆腐の変わり焼き 南瓜のソース
馬鈴薯千切り 豚ばらスライス 小松菜 人参
御飯
菜飯のお茶漬け 小口葱 あられ
香の物
五種
水物
苺ヨーグルトムース 苺 オレンジ レモンゼリー
薄茶