三月の能書き

2013-03-12

     天醐の三月

厳しい寒さも少しずつ和らいで春の気配を感じられる三月。

温かな日差しを楽しみながら春の食材の料理も心待ちになる時期です。

今月はお花見の季節でもあり、持ち出しのお弁当のイメージも

少し加えてのお献立です。

この時期に不思議と恋しくなるのが食材の苦みの味。私達、日本料理の

ことわざのように「春、苦み 夏は酢の物 秋、辛み 冬は脂もの・・・」と。

古来より四季のある日本料理には季節の食材と共に、身体が必要と

している食材、栄養、或いは、食感・香り・色合い、四季を感じさせて

くれる盛り付け。これほどにそれぞれの季節を楽しませてくれる

お料理が海外にあるのでしょうか? 私達は恵まれた四季の

環境の中で自然の美しさと大切さをお料理に乗せてきた歴史があり

それは世界の遺産としても認められようとしています。

大切にしていきたい料理。

当店は生粋の日本料理ではありませんが、ベースは日本を

忘れない創作料理です。私自身、25年以上日本料理店、料亭等で

仕事をして参りましたが、少々幅を広げた料理を提供し、

遊び心を加えてお客様に楽しんで頂きたく今の天醐に至って

います。今後とも楽しんで頂く為の仕事を続けて参ります。

 前置きが長くなりましたが、今月のお献立、

 季節を楽しんで頂けますように。

向附 これから美味しくなる貝類。酸味との相性は抜群です。

ゆえにキウイ、グレープフルーツなどは好相性!

柔らかい味の黄味酢でお召し上がりを。赤キャベツ

の色を生かしたゼリー寄せは食感も上々です。

椀盛 蛤の旨みを利かせたお出汁の海老しんじょ椀です。

山椒の芽と若布の香りが食欲をそそります。なぜか、蛤と若芽を

一年の中で一番美味しく感じるのは私だけ?

造り 先月に引き続き、胡麻をたっぷり利かせたドレッシングでの

サラダ仕立てです。今月もブリが本命ですが・・屋久島初鰹も期待の花。

または・・表浜の寒ボラだったり・・と良質な魚が入荷する事が

楽しみこの上なしです。

八寸 手籠盛の八寸。少しづつ春を思わせる盛りつけになりますね。

勿論、八寸ですから、野の物・海の物と色々と少量盛り合わせに。

一献いかがですか?

煮物 ロール白菜です。中身の野菜は玉葱、人参、牛蒡。付け合わせには

野菜たっぷりの飛竜頭。名残りの玉蕪・・春大根への変わり目です。

緑色の餡はホウレン草をミキサーにかけてお餅を溶かしたお出汁と合わせ、

クレソンを付け合わせました。

水物 小豆をぜんざいに仕立ててゼラチンを溶かし込みゼリーとして

その上から抹茶のムースを流し込みます。

抹茶と小豆の相性は絶対的な組み合わせですね。

 

            

野菜ソムリエ オーナーシェフ   大澤 淳